シンガポールキャリア:20代前半の候補者からの転職相談

気まぐれにアジアMBAやアジア就職についてブログを書いています。現在はシンガポールでヘッドハンティング会社、日本でMBA進学支援を行っていますが、気付けばこのブログも今回で47本目になりました。書いていて思うのは、ネタを考えるのも意外と大変だし、継続するのも決して楽ではないということです(笑)。今回はアジアMBAではなく、シンガポールでのキャリアについて書いてみたいと思います。

先日、20代前半の方からシンガポールで働きたいという相談を受けました。その気持ちは痛いほど分かります。なぜなら僕自身も大学卒業後、仕事もないままニューヨークへ渡ったからです。当時はアメリカで大きなことをやりたい、アメリカンドリームをおこすという漠然とした夢がありましたし、日本の就職活動にも少し違和感を感じていました。同じスーツを着て、サークルのリーダーや副リーダーが大量発生し、私は納豆のように粘り強いです!というテンプレ自己PRが飛び交う世界を見て、当時の僕は正直「ダサい」と思っていました。今なら組織で働くうえで大切な要素だと理解できますが、若かったんですね(笑)。

シンガポール転職が難しい理由

ただ、その候補者に対して、僕はシンガポールの求人を紹介することができませんでした。理由はシンプルで、紹介できる求人がなく、海外転職は本人の熱意だけでは決まらないからです。特にシンガポールではビザの問題が非常に大きく、コロナ以降は外国人雇用の基準がかなり厳しくなりました。企業は外国人を採用するために一定以上の給与を支払う必要があり、さらに現地人材との比較も求められます。企業側からすると、なぜシンガポール人ではなく外国人を採用するのか?を説明できなければなりません。つまり、新卒レベルで社会人経験の少ない外国人を採用する理由を作るのは簡単ではないのです。

また、シンガポールは日本と違い、基本的に即戦力採用です。大学で会計を学んだ人は会計へ。エンジニアリングを学んだ人はエンジニアへ。営業経験者は営業へ。キャリアチェンジもゼロではありませんが、日本ほど一般的ではありません。とりあえず総合職で入ってから考える、という発想はあまり存在しません。そのため、シンガポール転職を目指すなら、「何ができる人なのか」を明確に説明できることが重要になります。

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実は日本はかなり恵まれたキャリア環境

だからといって、日本で経験を積むことが遠回りかというと、僕はそう思いません。僕自身、ニューヨークで約3年粘った後、日本へ帰国し、その後6年間社会人経験を積みました。BtoC営業、BtoB営業、ベンチャー企業、外資系企業、マネジメントなど様々な経験をさせてもらいました。振り返ると、その6年間があったからこそ、その後シンガポールへ転職できたと思っています。

実は日本は世界有数の恵まれた労働市場です。世界第4位の経済規模があり、日本人であればビザなしで働ける。そして何より、ほぼ全ての業界と職種が存在します。シンガポールは淡路島ほどの大きさしかない都市国家です。金融、テック、物流などは非常に強いですが、日本のようにあらゆる産業が揃っているわけではありません。例えば製造業の工場はタイやマレーシアへ。IT開発はインドやベトナム、フィリピンへ。シンガポールはハブ機能に特化しているため、そもそも存在しない仕事も少なくありません。

一方で日本は、未経験採用や職種変更にも比較的寛容です。若いうちに色々な経験を積み、自分の武器を作るには非常に良い環境だと思います。文系から営業。理系から人事。未経験からマーケティング。こうしたキャリアチェンジが比較的起こりやすい。もちろん、その分キャリアに悩む若者が多いという側面もありますが(笑)。

それでも挑戦したいなら、ぜひ行ってほしい

ここまでかなり現実的な話を書いてきました。ただ正直なところ、もし20代前半の頃の僕に今の話をしても、たぶん聞く耳を持たずにアメリカへ行ったと思います(笑)。結局のところ、人は自分で経験しないと本当の意味では理解できない。僕はそう思っています。だから、ここまで書いた内容は参考程度に聞き流してもらって構いません。もし「海外に挑戦したい」という気持ちがあるなら、若さに任せて飛び込んでみてください。僕自身、アメリカで見事に打ちのめされました。思い描いていたアメリカンドリームとは程遠く、何度も悔しい思いをしました。でも、その経験があったからこそ日本で鍛え直し、今こうしてシンガポールで会社を経営しながら、再びニューヨークでのIPOという夢を追いかけています。

遠回りに見える経験も、後から振り返ると意外と無駄ではありません。むしろ人生は成功より失敗から学ぶことの方が多い気がします。だから20代前半の皆さんも、ぜひ失敗してください。できれば若いうちに、派手に失敗してください(笑)。そして転んだら、また立ち上がればいい。僕もまだ挑戦の途中です、CanCanという合言葉を胸に!

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