シンガポールMBA:新卒の給与は74万円?〜シンガポールの給与・採用事情〜

前回はシンガポールMBAの給与事情として、卒業後は年収2,000万円以上も狙える?、という話をしました。今回はもう少し現実的な話です。そもそも、外国人である僕たち日本人がシンガポールで働くには、どれくらいの給与水準が必要なのでしょうか?ここをリアルに見ていきたいと思います。海外勤務には駐在と直接雇用などいくつか方法がございますが、今回は直接雇用について書いていきます。

…と、その前に少しだけ。

僕は現在、シンガポールで別ブランドでNew Hiresという人材紹介事業を行い日系企業の採用支援をしています。ただ正直に言うと、日本人向けの採用枠はかなり限られています。シンガポールで働きたいというご相談は多いのですが、そもそもポジション自体がないケースも少なくありません。この現実を踏まえた上で、まずは制度の話から見ていきます。

目次

シンガポールのビザ、そもそもEPとは?

シンガポールで外国人が働くためには、就労ビザが必要になります。その中でも代表的なのが

  • EP(Employment Pass)
  • Sパス

今回はホワイトカラー人材向けのEP(Employment Pass)に絞ってお話しします。EP・Sパスの大きな特徴はシンプルで、

👉 一定以上の給与水準が求められること

つまり、この人はシンガポールで働く価値がある人材かどうかを、給与という分かりやすい指標で判断しているとも言えます。そして重要なのが、この最低給与ラインです。この基準は年々引き上げられています。

2027年、EPは月74万円時代へ

今年発表されたのが、2027年からの基準引き上げです。

EPの新規申請における最低基本月給は、現行の5,600Sドル(約69万円)から、6,000Sドル(約74万円)へ引き上げられます(124円レート)。さらに金融サービス分野では、6,200Sドルから、6,600Sドルへと上昇します。

Budget 2026:https://www.channelnewsasia.com/singapore/budget-2026-foreign-workers-employment-pass-qualifying-salary-lower-wage-workers-5925671

つまり、新卒でシンガポールにEPで就職する場合、月74万円が最低ラインになります。日本の新卒給与はここ数年で上昇していますが、シンガポールの日系企業が新卒に月74万円を支払うケースは多くありません。実際にシンガポールMBAを卒業して現地で働いている日本人を見ると、フルタイムであれば20代後半、パートタイムであれば30代半ばくらいの層が中心です。そしてEPを満たす現実的な給与レンジとしては、

SGD6,500〜SGD8,800(約80万円〜約109万円)

このあたりが一つの目安になります。つまり、新卒でいきなり海外に出るよりも、経験を積んだ人材の方が圧倒的に有利な市場です。

実際にシンガポールで働くためには何が必要なのか

まず一つ目は、大学卒業というベースです。これは当たり前のようでいて、海外に出ると一気に意味を持ちます。僕自身、日本の大学を卒業した当初はその価値をあまり実感していませんでした。しかし、アメリカやシンガポールでビザを取得する際には、英文の卒業証明書が求められます。つまり国の視点では、この人が信頼できる人材なのかを判断する材料になっているのです。実際、シンガポールでは過去に偽の大学証明を提出して就労ビザを取得していたケースが問題になったこともあります。そういった背景もあり、学歴の信頼性は非常に重視されています。もちろん、MBAに応募する場合も大学卒業は前提条件となります。

次に重要なのは、どのタイミングで海外に出るかという視点です。新卒で海外に挑戦したいという気持ちは、とてもよく分かります。僕自身もそうでしたし、その気持ちは大切にすべきだと思います。ただし、採用は気持ちだけでは決まりません。シンガポールの採用は基本的に即戦力採用です。つまり、今すぐ価値を出せる人材かどうかが重視されます。一方で、シンガポールオフィスのトップは40代〜60代の駐在員が担っているケースが多いのが実情です。この構造を踏まえると、最も現実的にチャンスがあるのは、20代後半から30代後半のミドルレンジ層だと言えます。だからこそ、遠回りに見えても、日本で3〜5年しっかりと経験を積み、自分の武器を持つことが重要です。

最後に、業界についてです。これも非常に重要なポイントで、EPの最低給与を満たすという観点では、もともと給与水準が高い業界の方が有利だと考えられます。実際に日本人採用があるのは、

  • 金融
  • ファンド
  • コンサル
  • IT
  • ヘルスケア / メディカル

といった領域が中心です。また、ポジションとしては日本とシンガポールの橋渡し役となるケースが多く、日本語と英語の両方を使える人材は明確な強みになります。さらに、日本国内でクロスボーダー案件に関わった経験がある場合、海外転職の可能性は大きく高まります。

まとめ:海外挑戦は戦略で勝つ

ここまで見てきた通り、シンガポールでの就職は年々難しくなっています。実際、シンガポールMBAを卒業しても、そのままシンガポールに残れるのは約3分の1程度と言われています。これは能力だけの問題ではなく、ビザという外部要因が大きく影響するためです。そのため、シンガポールでの就職を確実にすることは難しいのが現実です。個人的なアドバイスとしては、シンガポールや香港などのMBA自体を単体で考えるのではなく、その後のキャリアまで含めて設計することが重要です。例えば、シンガポールMBAは約2年の就業経験が応募要件となっていますが、その状態で卒業しても現地就職のハードルは高いと言えます。一方で、日本で3 – 5年ほど経験を積み、クロスボーダーの案件やグローバルな業務に関わってきた人材は、MBA卒業後にシンガポールで就職できる可能性がより高くなります。最後にMBACareerでは、単にMBA合格をゴールとするのではなく、 その先のキャリアまで見据えたサポートを提供していきたいと考えています。海外挑戦はチャンスに満ちていますが、同時に準備した人だけが結果を出せる世界でもあります。だからこそ、夢を見るだけでなく、戦略を持って挑戦していきましょう。

シンガポールのEP基準は年々上がってます
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次