KeiのMBA回顧録──シンガポール国立大学(NUS) MBA/グループワークについて

前回はNUSの魅力を伝えつつ、僕がグループワークで苦戦した話を書きました。でも実は──僕、NUSのグループワークが大好きでした。変ですよね (笑)あのMBAの世界って、競争も議論も激しくて、普通なら「疲れるな…」って思う場面も多い。でも僕にとっては、授業で座って聞いてるより、グループワークのほうが100倍面白かった。実際に議論して、動いて、ぶつかって、笑って──その中でこそ学びがあったから。

今日はそんな、NUSのグループワークから感じたことを、いつものKopi Cを飲みながら、ゆるっと書いていきます。

安心してください、いつも通りKopiC アイスを飲んでいます☕️

目次

🎓 エリートだらけの教室で感じたプレッシャー

NUSの教室を見渡すと、日本人学生だけでも旧帝大・早慶上智出身が並び、誰もが聞いたことのある企業で成果を出してきた人たちばかり。もちろん海外の学生も同じ。インドの理系MBA勢、中国のコンサル軍団、ヨーロッパの戦略志向組。どの国の学生も、それぞれの分野でエース級だった。

一方の僕は、アメリカで撃沈して、日本で営業して、スタートアップ行って、シンガポールで転職して──
もう“転びながら前に進む人生”。だから最初の授業では正直、「この中でどうやって生き残るんだ…?」って思ってました。

※MBAでよく出てくる「グループワーク」とは、4〜7人ほどのチームを組んで、ビジネスケースの分析やレポート作成、プレゼン発表などを行う形式のこと。NUSではこれがとにかく多く、授業によってはプレゼン2回、レポート2回といった課題も珍しくない。パートタイム生は、週末のほとんどをこの準備に費やすことになる。

💪 頭のいい人たちの中で見つけた“自分の居場所”

グループワークが始まると、周囲の優秀さを前に、最初は圧倒されました。企業価値評価(Valuation)の課題では、金融出身の仲間たちが信じられない速さでエクセルを操っていた。僕は隣で、その数式のスピードをただ見つめるしかなかった。でも別の課題で「人事制度の再設計」がテーマになった瞬間、全員の目がこっちに向く。

「Hey Kei, you’ve worked in HR right?」
──そう、ここは僕の土俵でした。

シンガポールと日本で人事・営業・マネジメントをやってきた経験から、現場で何が機能して何が機能しないか、リアルに話せた。教授も「That’s an interesting perspective」と言ってくれた。知識では勝てなくても、現場経験から出るリアルな意見なら誰にも負けない。

それが自分の強みであり、チームの中で価値を発揮できる瞬間だった。

🔍 グループワークは“自分を知る鏡”

NUSのグループワークは、チームもテーマも毎回違う。つまり、自分の役割も毎回変わるリーダーとしてチームを引っ張ることもあれば、裏方として支えることもある。時には意見がぶつかり、チームがバラバラになることもありました。実は僕が一番力を発揮できたのは、議論が長引いて疲労感が出てきたとき(笑)みんなの表情が固くなって「もうこの課題終わらないかも…」って空気になる。そんな瞬間に僕は、冗談を交えながら空気を変えるようにしていた。

“Eh guys, even our PowerPoint also tired already, lah.”

全員が笑って、そこから再び集中モードに入る。そういう瞬間に、チームの温度が一気に上がるのを感じた。そのとき思ったんです。

「リーダーシップって、必ずしも前に立つことじゃない。チームの空気を変え、全員を前向きにする力も立派なリーダーシップだ。」僕はどちらかというと“場を動かすタイプ”。真面目な議論の中に少し笑いを入れ、全員が話しやすくなる空気をつくる。
それが結果的に、チームの議論をスムーズにして、最終的に成果につながることも多かった。

🧠 学びの核心

どんな環境にいても、自分が輝けるタイミングは必ずある。それは、自分にしか語れない経験かもしれないし、もしくは自分本来が持つ個性や強みなのかもしれない。NUSのグループワークを通して、さまざまなバックグラウンドを持つ仲間とチームを組み、そのたびに異なる役割を担う中で、僕は改めて“自分”という人間を深く理解するきっかけを得た。

自分のことって、わかっているようで実は一番わかっていない。そして時には、自分を過小評価したり、誤解していたりもする。それを気づかせてくれたのが、このグローバルで多様なチームの中で過ごした日々だった。人の中に自分を映すと、本当の自分が見えてくる。

この歳になっても、まだ“自分を知る旅”は続いている──でも、それこそが挑戦の醍醐味だと思う。

🚀 起業を決めた理由

少し話が脱線するけど、僕が起業を決めた理由について最後軽く触れます。NUSのグループワークや学生生活を通じて感じたことは、「頭で勝負しても勝てない人たちがいる」という現実だった。僕は20代の頃は営業で足を使って働き、夜9時、10時まで走り続けてきた。でも30代、40代になって同じ戦い方は続かない。だからマネジメントを学び、頭を使うキャリアを目指した。

けれど、NUSで出会った仲間たちは僕よりもずっと頭が良かった。だから僕は違う道を選ぼうと思った。

“次は心で勝負しよう”

人を動かし、勇気づけ、挑戦を生み出せるような存在になりたいと。それが僕が起業を志した理由の一つだった。僕のキャリアは典型的なMBA生とは違う。大学卒業後すぐアメリカに飛び込み、帰国後はスタートアップ、外資、そしてシンガポールへ。順風満帆ではなく、むしろ失敗の連続だった。でも今では、それが僕の“誇り”です。失敗した人の気持ちがわかる。転んだ人の立ち上がり方を知っている。

だからこそ、人の背中を押すことができる。NUSは、そんな「自分の原点」をもう一度見つめ直す場所でもあった。

NUSでのグループワーク
(Family Businessクラス)

👉 次回予告|Vol.18


応募書類は英語スコアだけじゃない

CV(職務経歴書)とエッセイは、いわばあなた自身のドキュメンタリー。数字や肩書きだけじゃなく、どんな挑戦をして、どう成長したか。そして、MBAで何を得て、どんな未来を描いているのか。スコアでは伝わらない“生きたストーリー”をどう言語化できるかが勝負。

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