KeiのMBA回顧録──香港MBA・HKUST交換留学での気づき

なぜシンガポールのTEHと香港ミルクティーは、あんなにも味が違うんだろうか…。最近ちょっと香港ロス気味のKeiです。

香港MBA特集ではHKUCUHKHKUSTをあれこれ語ってきましたが──今日は実際に僕が香港のHKUSTで交換留学したときの話をしようと思います。「MBA=交換留学」というイメージ、持っている人は多いと思います。ただ、交換留学と一言で言っても形はいろいろあって、1セメスター丸ごと行くような数ヶ月の長期型もあれば、僕が選んだような数週間だけの短期交換留学もあります。

人気の高い交換留学先は選抜制だったりもするので、必ずしも“行きたいところに行ける”わけでもありませんし、実は交換留学そのものに行かないMBA生も意外と多いんですよね。そんな中で、今回は僕が短期交換留学でHKUSTに行ったときのリアルを、いつものKopi Cを飲みながら思い出しつつゆるく書いてみますKopiを飲むと「ああ、シンガポールに帰ってきたな…」って感じがするのは、僕だけでしょうか☕️

目次

なぜ“香港”に決めたのか

シンガポール国立大学 (NUS) でMBAを取っていた時、交換留学の選択肢は本当に幅広かった。ヨーロッパ、アメリカ、アジア、中東……行こうと思えば世界中どこでも行ける、そんな感じだ。その中で僕は最初から、交換留学に行くならアジアと決めていた。理由はシンプルで、アジアビジネスに強く惹かれていたからだ。…と書くと最初からアジア派っぽく聞こえるが、実は完全なる“アメリカ派”出身。日本の大学を卒業した勢いでニューヨークに飛び込み、夢に撃ち返されて帰ってきた張本人(笑)。

そんな僕がアジアに本気で興味を持つようになったのは、シンガポールに転職してきてからだった。アジアは多国籍で多様性があって、しかも成長を間近で感じられる。東アジアには中国・韓国・日本、東南アジアは各国が独立したスピードで伸び、インドはマンパワーとITで新しいリーダーシップの中心になりつつある。シンガポールから飛行機で4〜5時間の範囲に、これだけ違う“顔”が詰まっているのは本当に面白い。

だから交換留学もアジア一択。その中で香港を選んだのは、街のエネルギー、人の強さ、あの独特のパワーに惹かれたからだ。香港は歴史的背景もあるのか、自己を強く持たないと生きていけない街の空気がある。それに僕はパートタイム学生だったので、長期交換留学はそもそも選択肢になく、短期交換留学が唯一のルートだった。そんな流れで、僕のHKUST交換留学がスタートした。

香港MBA/HKUST 交換留学

交換留学で気づいた“外に出ないと見えないもの”

MBAを勉強していても、実は他校がどんな授業をしているのかを知る機会ってほとんどありません。シンガポールにいても、NTUやSMUの学生とは飲みに行くことはあっても、一緒にケーススタディを解いたり、同じ教授の授業を受けたりすることはないんですよね。だから、他校はどんな内容を、どんなレベルで学んでいるのか?実は全く想像がつかない。そんな中で、僕が交換留学でHKUSTに行って一番よかったと思うのは、世界中のMBA生と一緒に勉強して、初めて自分たちがどんなポジションにいるのかが分かったことでした。

HKUSTの短期交換留学には、中国本土、韓国、日本、インドネシア、アメリカ、カナダ、チリ、メキシコ、コスタリカ、トルコ…本当に多国籍な学生たちが集まっていて、教室に入った瞬間から空気がまったく違う。授業が進むにつれて改めて感じたのは、欧米勢はやっぱり遠慮なく発言するという“イメージ通りの強さ”。ただ、それ以上に驚いたのはアジア勢の中での違いだった。僕以外にもNUSの学生が2名参加していたのですが、彼女らは英語での議論にもまったく戸惑いがなく、積極的に発言して場をつくっていた。個人的な意見ではあるけれど、他のアジア勢は英語で発言することに少し躊躇があるように見えた。それを見て初めて、あ、NUSの学生って英語での議論に慣れているんだなと実感した瞬間がありました。母校を持ち上げたいわけじゃないですが、どこか誇らしく見えたのは正直なところです。

ここで言いたいのは、「シンガポールMBAは素晴らしいですよ」という話ではありません。外に出てみないと、自分の良さも弱さも気づけないということです。これは、日本から海外に挑戦するのと似ています。外に出るとその国の良さも見えるけれど、同時に、自分の国や自分自身の良いところ・課題も浮き彫りになる。だから僕は、交換留学は絶対に行ったほうがいいと思っています。短期でも十分に価値があるし、むしろ短期だからこそ気づけることも多い。

短期交換留学は、正直けっこうゆるくて楽しいんです(笑)

僕がNUSでMBAを受けていてよく思っていたのは、なんでこんなに机にかじりついてるんだろう…」ということだった。NUSは本当に真面目で、教授のレベルも高いし、ゲストスピーカーは驚くほど頻繁にやって来る。でも、意外なことに教室の外に出るアクティビティはほとんどない。その点、短期交換留学は空気がまったく違う。まず評価がパスかフェイルの2択で、AもBもCもつかない。これだけで学生の肩の力がごそっと抜ける。授業内容も“気合いの入ったアカデミック”というより、どこかゆるく、良い意味でチル。

HKUSTでは、HSBCを訪れたり、EYで話を聞いたり、さらに難民問題を学ぶために重慶大廈(チョンキンマンション)まで行ったりと、教室の外に香港のリアルがどんどん広がっていった。香港という街は、ただ歩いているだけで学びがある。都市のスピード、人の勢い、文化のぶつかり合い…。机の上での議論より、街そのものが教材になっていく感覚があった。

そして授業が終われば、ほぼ毎日どこかに飲みに行くこれはもう暗黙の了解だった。「これ、ほんとにMBAか?」と自分でツッコミたくなる時もあったけど、こういう空気感が短期交換留学の醍醐味でもある。実はこういう“現場で学ぶMBA”こそ、僕が勝手にイメージしていたMBAの姿だったのかもしれない。NUSが真面目すぎるのか、短期留学がゆるいのか、HKUSTが自由すぎるのか…。

放課後はクラスメイトと夕食 & 飲み会

まとめ──自分の外に出た分だけ、自分の内側を知る

HKUSTでの短期交換留学を振り返ってみると、結局のところ、交換留学の一番の価値は“外に出ないと見えないもの”が見えることに尽きると思う。アジアの多様性、香港のスピード感、街に漂う挑戦者のエネルギー。そこに混ざることで初めて、自分の強み・弱み、そして母校の良さまでも自然と浮かび上がってくる。そして、交換留学で得られたのは学びだけじゃない。あの数週間で出会った仲間たちは、今でも繋がり続けている。Yale大学から来ていたPaulが、シンガポールに遊びに来たときに再会したのは象徴的だった。数週間しか一緒にいなかったのに、気がつけば昔と同じテンポで会話が流れていた。ああいう縁は、普通の生活ではなかなか生まれない。

そして、これはNUSに限らずだけど、MBAを取っている仲間同士のつながりは、驚くほど強い。将来のキャリアをどう描くか、人生をどう生きるか──そんな話を自然に共有できる“同じフェーズ”の人たちが集まっている感覚がある。思考回路がどこか似ているのかもしれないし、社会人になってから再び勉強するというタフな時間を、それぞれが乗り越えているからかもしれない。苦労の種類が違っても、どこか共通するものがある。

最後に、交換留学を通じて伝えたいことは、人は自分の外に出た分だけ自分の内側を知るそして外の世界に踏み出した分だけ、自分の可能性も広がっていく。

Can or Can not?

CanCan!!

HKUSTのクラスメイト、Paulとシンガポールにてランチ
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