かつて日本競馬界に“諦めない馬”がいた、その名はステイゴールド（黄金旅程）。50戦以上もG1を勝ち切れず「シルバーコレクター」と呼ばれながら、最後に世界を驚かせたのは、ここ香港──シャティン競馬場だった。人生をかけて走り続け、ようやく手にしたG1勝利。その感動の舞台からほど近い丘の上に、もうひとつの“挑戦の象徴”がある。それが The Chinese University of Hong Kong（CUHK） だ。
香港MBAの話をすると、多くの人が「香港＝都会的でスピード感ある街」と思うだろう。でも、CUHKのキャンパスへ足を踏み入れた瞬間──そのイメージは一気に変わる。そこには緑に包まれた静寂の世界が広がり、香港とは思えないほど穏やかな時間が流れている。“森の中のビジネススクール”それがCUHKの第一印象だ。香港の3大MBA（HKU・CUHK・HKUST）の中でも最も長い歴史を持ち（MBAプログラムにおいて）、まさに“香港MBAの原点”と呼ぶにふさわしい存在。
今回のシリーズ第2弾では、そのCUHKを現地で訪れ感じたリアルを紹介していきます。
① General Information（基本情報）
🎓 歴史と背景
1963年に設立されたThe Chinese University of Hong Kong（CUHK公式サイト）は、1966年──香港で最初のMBAプログラムを立ち上げ、来年でちょうど60周年を迎えます。60年という時間の中で、CUHKは「香港MBAの原点」として確固たる地位を築いてきました。アジアでMBAという言葉すら一般的でなかった時代から、CUHKは「実践と学問の融合」を掲げ、香港・中国・ASEAN・欧米へと広がるリーダーを1万人以上輩出しています。
💼 ビジネススクールとしての進化
CUHK Business Schoolは、香港の中でも「教育の深さ」と「ネットワークの広さ」で知られています。特に中国本土との強いつながりがあり、深圳や上海の企業・大学との連携が活発。グローバル化の波の中でも、香港を起点に「中国×世界」のリアルなビジネス教育を展開しています。
② School Highlights（学校の特徴）
1. 香港で最も長い歴史を持つMBA
繰り返しになりますが、CUHKは1966年にMBAプログラムを開始し、来年の2026年にはちょうど60周年。この長い歴史の中で築かれたカリキュラムの安定感と、卒業生ネットワークの厚みは他の学校にない強みです。現地のビジネス界では「CUHK卒＝信頼できる」という印象が強く、アジアで長くビジネスをする上で“目に見えないブランド力”を感じます。まさに「香港MBAの原点」と言える存在です。
2. 自然に囲まれた“学びの街”
キャンパスの最寄り駅は「大学駅（University Station）」、駅直結のロケーションながら広大な敷地と豊かな緑が印象的。入口にはセキュリティゲートがあり、内部はまるで「小さな街」のようです。ビジネススクール棟はモダンな建物で、周囲の自然との調和が美しい。木々の間を抜ける風とともに、“静けさが学びを深める”空間が広がっています。キャンパス内にはMBA生が滞在できる寮もあり、「学び・生活・人とのつながり」が一体化した環境が整っています。都会の真ん中で刺激を求めるHKUとは対照的な、“静のMBA”です。
3. 独自のアドミッションスタイル
CUHKの入試は、他校とは一味違います。なんと、GMATスコアは必須ではない！！でもスコアを提出してる方がプラスのようではあります。CUHKのWebサイトの表記はこのようになってます → GMAT/GRE score is not mandatory, but a good score would strengthen the application.
代わりに重視されるのが英語でのグループ面接です。このグループ面接は他校ではあまり聞かない面接方法で、正直僕もびっくりしました。ここで見られるのは、英語力そのものよりも「協働力」と「リーダーシップ」。単に点数で測るのではなく、チームで成果を出せる力を見極める実践的な選考プロセスになっています。いかにも“人と人の関係性”を大切にするCUHKらしいアプローチです。
③ おすすめポイントとまとめ
CUHKはMBAプログラムにおいて長い伝統を持ちながら、日本人学生の比率が低いという特徴もあります。現地学生や中国本土出身者と肩を並べて学ぶ環境は、まさに“中国×世界”の真髄。落ち着いた空気の中でじっくり自分を磨きたい人には、最適のフィールドです。派手さはないけれど、積み重ねた歴史が確かな信頼を生む。そんなCUHKは、「静の挑戦」を体現するMBA。伝統・環境・人の深みを感じながら、自分のキャリアに芯を通したい人にこそ、ぜひ訪れてほしいビジネススクールです。
コメント