香港とシンガポールは似ている──そういう意見をよく耳にする。でも、ミルクティーを一口飲めばその幻想は一瞬で消える。甘さの方向性からしてまるで別物だ(笑)。同じくイギリスの影響を受けながらも、この2都市は“似ているようで、どこか似ていない”絶妙な関係性にある。そんなユニークな舞台のひとつが、今回紹介する The University of Hong Kong(HKU)。
今回から3回シリーズで、香港の3大MBA──HKU・CUHK・HKUSTを実際に訪問して感じたリアルを紹介していきます。その第1弾は、伝統 × グローバルの象徴、The University of Hong Kong(HKU)。MBAを通じてアジアでキャリアを築きたい方にとって、香港は今も強力な選択肢。ただし、シンガポールとはまた違う「挑戦のリアル」もある。現地の空気と一緒に、HKUの魅力を少しずつ紐解いていきましょう。
① General Information(基本情報)
🎓 歴史と背景
1911年に設立されたHKU(The University of Hong Kong 公式サイト)は、香港で最も歴史のある大学。イギリス統治時代、「アジアの高等教育ハブ」として構想され、そのDNAには今もブリティッシュ・エリート教育の香りが残っています。レンガ造りのメインビルディングに足を踏み入れると、まるでロンドンの大学に迷い込んだような雰囲気。一方で、窓の外には香港島の摩天楼が広がり、伝統と現代が交差する光景がHKUの象徴です。
💼 ビジネススクールとしての進化
HKU Business Schoolは2001年に独立。そこからの成長スピードは香港らしくスピーディーです。「アジア×グローバル」をテーマに掲げ、ロンドン・ニューヨーク・北京を結ぶ3トラック制度を通じて、学生が世界を“動きながら学ぶ”体験を提供しています。
🌍 プログラムの柔軟性
キャリアのステージや働き方に応じて、3つの形式が用意されています。
・Full-time(1年制):世界各国から集まる学生による集中的プログラム
・Part-time(Hong Kong mode):在職者が学びを続けられる週末コース
・Part-time(GBA mode):香港・深圳・広州などのビジネスパーソンが集う“Greater Bay Area”モデル
特にGBAモードは、経済圏として急成長するエリアを舞台に、アジアの次の成長エンジンを体感できる学びとして注目されています。

② School Highlights(学校の特徴)
1. アドミッションがとにかくフレンドリー
香港の3校(HKU・CUHK・HKUST)の中で、最も親しく交流できたのがHKU。以前、シンガポールでMBAフェアがあった際も、アドミッションの方々がわざわざ声をかけてくれたのを覚えています。そして今回、香港のキャンパスを訪問した際も、わざわざ時間を割いて案内してくださり、その丁寧さに感動しました。
実際にキャンパスを歩いていると、アドミのスタッフに手を振る学生が次々と現れる。まるでキャンパスの人気者のようで、その光景からもスタッフと学生の距離の近さが伝わってきます。放課後やイベント後に一緒に飲みに行くことも多く、これまで訪問したシンガポール・香港のビジネススクールの中でも、アドミッションと学生の関係性の良さはトップクラスだと感じました。
2. 強固なアルムナイ・ネットワーク
こうした温かい文化は、卒業後のネットワークにも受け継がれています。HKUでは東京やドバイなどに活発なアルムナイ・ネットワークが存在し、定期的に交流イベントが行われています。在学生も卒業生との距離が近く、勉強やキャリア相談を気軽にできる環境。実際、アルムナイ経由でインターンや転職の機会を得た学生もいるとのこと。この“つながりの強さ”は、HKU/MBAの大きな魅力のひとつです。
3. 都心型キャンパスでアクセス抜群
HKUは複数のキャンパスを持ちますが、MBA学生が主に利用するのはCyberport CampusとAdmiralty Town Centre。特にTown Centreは、香港島の政治・ビジネスの中心地であるAdmiralty駅から直結しており、アクセスが非常に便利です。まさに「街の中のキャンパス」という印象で、郊外型のHKUSTやCUHKとは大きく異なる都会的な雰囲気。一方で、フルタイムMBAの一部期間を過ごすCyberport Campusは、海沿いの落ち着いたエリアにあり、学びに集中できる環境が整っています。

③ おすすめポイントとまとめ
HKU/MBAの魅力は、なんといっても「伝統」と「挑戦」が共存している点にあります。100年以上の歴史を誇る大学でありながら、ビジネススクールとしては2001年設立と比較的新しく、生徒とアドミッションが一体となってMBAを進化させているのが大きな特徴です。近年では、ドバイに新たなアルムナイネットワークを設立し、ヨーロッパのビジネススクールとの連携も積極的に展開。香港というアジアの中心から、さらにグローバルな舞台へと拡張を続けています。
伝統の重みを持ちながらも、あくまで前のめりに進化を続ける。そんな“攻めのMBA”こそが、HKUを他のアジアMBAと一線を画す存在にしています。アジアの中心・香港でキャリアを磨き、世界を見据えるリーダーを目指す人にとって、HKUはまさに理想的なフィールドです。


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