正直に言うと、僕はずっと「MBAなんて、自分には関係ない世界」だと思っていた。
田舎で育ち、エリートが入社するような一流企業に勤めたことがあるわけでもなく、ビジネススクールなんて遠い世界の話だった。
そんな僕がシンガポールで働き始めて数年が経った頃、同じ業界で仕事をしていた日本人の先輩が、NUSのMBAに通っていると聞いた。
その先輩は自分と同じような環境で、同じようなキャリアを歩んできた人だった。
だからこそ、その話は強く印象に残った。
「え、NUSってアジアNo.1のMBAでしょ? あの人が行けるなら、もしかして自分にも可能性があるのかも…」
それまで“非現実”だったMBAという存在が、急に現実味を帯びて、自分の手の届くところに近づいた気がした。
彼と話す中で印象的だったのは、
学びのスタイルがとても実践的で、刺激的だということ。
- 実際の企業と連携して行うコンサルティングプロジェクト
- 提携している海外の大学院への交換留学
- 多様なバックグラウンドを持つ学生たちとのディスカッション
彼の言葉からは、教室の外にまで広がるような学びの広がりが感じられた。
ちょうどその頃、僕はマネージャー職に就いていた30代半ば。この先のキャリアでは、より経営に近い立場に進みたいと考えていた。
ビジネスの全体像を体系的に学び直したい。東南アジアの成長市場をもっと深く理解したい。
──そんな想いも、少しずつ芽生え始めていた。
シンガポールという街で、僕はアジアの“熱”を感じていた。
急成長するマーケット、多国籍な人材、ビジネスのスピード感。
この場所で働きながら、「このダイナミズムを、もっと中から学びたい」と思うようになっていた。
こうして僕は少しずつ、しかし確実に、MBAという選択肢に惹かれていった。

👉次回予告
Vol.2:社会人MBA受験の現実──地獄のスコア戦
仕事と勉強の両立。思うように伸びないスコア。
「なんでこんな大変なことを始めてしまったんだろう」と思った日々が始まる。
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